510:名無しNIPPER[saga]
2020/01/06(月) 21:19:14.86 ID:lpdju8Jx0
「おお、マオくん。勉強いつも頑張ってるね。
お姉さんから『塾が始まるまでの一時間だけ預かってくれ』って頼まれてるし、
時間がくるまでゆっくりしていっていいよ」
お兄さんはマオくんにそう告げると、
マオくんは、「……りがとざっす」と、小さな声でお礼を返す。
そしてお兄さんは手元のコンビニ袋を私たちに差し出してくれた。
マオくんが「先にいいよ、サンディ」と気を使ってくれるので
なんだか恐縮してしまって「ま、マオくんからいいよ!」と返事をする。
じゃあ遠慮なく、と言わんばかりにラムネ味のアイスバーを彼は選んだ。
残る一つはなんだろうと袋の中に手を入れ、それを取り出してみる。
私が選んだアイスは、千切ると二つになり、啜るように食べるものだった。
パ〇コと書いてある。
前にお兄さんと分けて食べた事があるが、チョコ味でとても美味しかったのを覚えている。
おもむろに袋からそれを取り出し、二つに分けてお兄さんに差し出す。
お兄さんは嬉しそうにそれを手に取り、余った手で私の頭を撫でてくれた。
嬉しさ半分、こそばゆさ半分。
いや、やや嬉しさが勝っている。体感の比率では8:2くらいか。
マオくんが何か考えながら私たちを見ているような気がするが、気のせいだろう。
「ありがとう、サンディ」
お兄さんは嬉しそうに言う。
わたしは、それが、とってもうれしい。
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