505:名無しNIPPER[sage]
2020/01/06(月) 20:55:31.70 ID:lpdju8Jx0
彼は非常に中性的な顔立ちをしていて、
黙っていると女の子にも見えてしまう。
同じくらいの年の友人なんて殆どいないけれど、
テレビで見るような賑やかな子ども達とは違う、独特の雰囲気がある。
そんな彼を見つめていると、チラッとだけ目が合った。
「……なに?」
「あ、いや、別に……なんでも、ないです……」
ふーん、とだけ言葉を残して、マオくんは再びテーブルの下に目を落とす。
人の動向を見過ぎる仕草は失礼に値する。
昔そう教えられていた事もあり、反省をしつつ
私も机に敷かれた積本を崩す作業に戻ることにした。
カリカリ、カリカリと鉛筆が滑る音に紛れて
ペラリ、ペラリと本を捲る音が、私たちのいる空間に反響する。
とても静謐で淑やかな時間だと感じている。
マオくんとは出会ったばかりなのだけれど、あまり緊張しないのは
こういう空気を共有できるからなのかも知れない。
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