506:名無しNIPPER[sage]
2020/01/06(月) 21:01:10.70 ID:lpdju8Jx0
そのまましばらく時が流れて、私は本を一冊読み終えた。
さて次は何を読もうと考えていると、体面で机に噛り付いている子が目に入る。
ふと興味が湧く。マオくんが何を一心不乱に学んでいるのか。
そっと覗いてみると、どうやら国語の四字熟語を覚えるために
何度もノートに書きなぐっていたのだ。
私も日本語は文字通り叩き込まれながら覚えたのだけれど、
当時を振り返ると四字熟語は結構苦手だったりした。
慣用句と違い、漢字のみで形成される言葉の成り立ちがイコールで結び付けづらいから。
設問を間違えた回数分、シャープペンを腕に突き立てられた事もある。
私は無意識に左腕の少し肉厚になった傷跡に手を添えていた。
過去の記憶を思い出しそうになり、思わずぶんぶんと頭を振ると、
訝しげな表情でマオくんが見つめてきていた。
「なに? ……どこか痛いの?」
「え、う、ううん。大丈夫です、大丈夫……」
そっか、と言いながらも、チラチラと私を気にするように、
目が合う頻度が少し上がった気がする。
マオくん、優しいなぁ。
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