475:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/02(火) 15:20:01.11 ID:YmoQ0jae0
「いいんですよ、別に。そもそもバレンタインとか今思い出したくらいです」
そう言いながら、ずずっとココアを一啜り。うん、甘くておいしい。
マスターはニヤニヤしながら、カウンターに置かれている沢山のチョコを
これ見よがしにと僕へ向けてくる。
「あぁ、俺も忘れていたクチだがよ。いい男の前には自然と集まっちまうみたいだぜ」
「それ全部マダム達からの義理チョコですか?」
「おぅよ。義理でも人情味がある分だけマシってなもんだ」
ぐぬぬ。皮肉を綺麗なカウンターで返されると切り返す言葉もない。
誤魔化すために再びココアを口元に運んでみた。
鼻腔をくすぐるカカオの香り、程よい温かさの後に舌先から広がる甘いテイスト。
義理人情のチョコとしては申し分ないほど美味しいのが難点だ。
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