433:名無しNIPPER[saga]
2018/10/15(月) 21:02:24.39 ID:4uI/TZsD0
「そ、それにしても思ったより時間がかかって申し訳ありません」
「気にしないで。少しは下駄に慣れたかい?」
「む、難しいところです……」
彼女は浴衣用の下駄を初めて履くものだから、
玄関を出た先の足取りなんてそれはもう覚束なくて危なっかしい。
なので近隣にある公園の周りを少し歩いて練習してくるとの事で遅くなっていた。
僕は祭りのために備え付けられていた公共用ベンチから腰を上げ、
さてどこから屋台を周ろうかなと思案をしながら一歩二歩と歩みを進める。
すると後ろから「うわっと、とと……」とこけないよう慌てるような声と共に
不規則なリズムの下駄音が聞こえて来た。
サンディはやはり歩き慣れていないようで、少しフラフラしながらも
カルガモの赤ちゃんみたいに一所懸命ついてくる。
靴擦れ防止のため、鼻緒が当たる指間にはバンドエイドを貼ってはいるものの、
それでもこすれて痛まないように歩く歩幅には気をつけておきたいところ。
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