366:名無しNIPPER[sage saga]
2018/04/21(土) 23:58:43.19 ID:aP2GD9YT0
「ただいま、帰りました」
おかえり、と僕は言葉を返す。少しだけ肩で息をしながら。
急いでアロハシャツから着替えて出迎えたのが要因だ。
彼女は訝しむ様子もなく、洗面所で手洗いうがいを終えて、
冷蔵庫にしまってある冷えた麦茶を取りに向かった。
台所の奥から声が聞こえてくる。お兄さんも麦茶を飲みませんか、と。
一杯もらおうかなと返事をしつつ、自分の手元にある小型カメラに目線を下ろす。
そこに写るのは先ほどの空き地にいたサンディの一部始終。
撮ってはみたものの、これは多分バレたら怒られるだろうな……。
そっと削除にカーソルを合わせて決定ボタンを押してみた。
可愛らしい様子であったが、写真を撮る際はやはり本人に許可を取ってなんぼというもの。
少しだけ勿体ない気もしたけれど、これでいいのだ。
軽くため息をついたところでペタペタと台所の方からスリッパの音が近づいてくる。
「はい、お麦茶です」
サンディはそう言いながら、そっと優しく麦茶を僕の前に差し出してくれた。
謎の丁寧語が妙に可愛らしくてついぞ口元が綻んでしまう。
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