199:名無しNIPPER[saga]
2017/11/23(木) 04:29:50.33 ID:uKzXp4eX0
「そういえば、もうすぐクリスマスだね」
お兄さんが独り言ちる。少し遠い目をしていた。
そうですね、と私は言う。
自分には今まで縁のないものだったから、正直なところよく分からないのだ。
「クリスマス、何か欲しいものはある?」
いいえ、何も、何も要りません。
ずっと貴方の傍においてください。
そう言うとお兄さんはきっと困るだろうから、私は首を振る。
「いいえ、特に」
「欲が無いなぁ。お兄さんをサンタさんと思ってくれていいんだよ」
「いいえ、本当に何も無いのです」
「そっか。 うーん……保護者として、何かしてあげたいんだよなぁ……」
するとお兄さんは、何か閃いたような顔をした。
そしてにっこり笑って私に告げる。
「よし、サンディ。宿題を出そう。
明日までに何か願い事を書いておくように。可能不可能は度外視で!」
「……え?」
貴方がいればいいのです、と早く言ってしまうべきだったか。
いや無理だ。面と向かって言うのは恥ずかしすぎる。
満たされている私にとって、とても難しい宿題が言い渡された。
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