198:名無しNIPPER[saga]
2017/11/23(木) 04:15:20.64 ID:uKzXp4eX0
「おぉ、サンディ。また一段と綺麗になったね。似合ってるよ」
お店に迎えに来てくれたお兄さんは、開口一番にそう言って褒めてくれた。
私は心からのお礼を申し合げる。有難うございます、と。
こうして美容院を後にした私たちは、そのまま手を繋いで、街を少しだけ歩いてみることにした。
その途中にて、クリスマス企画でもみの木にイルミネーションを点灯させるという行事に巡り合ったというわけだ。
「ふわぁ……」
イルミネーションを眺めていると、またしても声が漏れる。
青一色になったかと思えば、次はオレンジ色の暖色に切り替わり、そして紫の光の濁流に変わる。
去年の今頃は、寒さとひもじさで震える体を薄手の毛布で包んで寝ていた事しか記憶にない。
今こうして寒さに震えないのは、お兄さんのおかげ。
彼から先日買ってもらったマフラーを軽く触ると、ふわふわしている。
幸せだなぁ、幸せだなぁ。
胸がいっぱいになると不意にイルミネーションが滲んできた。
手袋を私なんかで汚すのは勿体ないので、急いで外してごしごしと目元を拭う。
ふと頭に優しい感触を覚える。お兄さんの手だ。
髪を切って軽くなった私の頭を撫でてくれる。嬉しい。
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