169:名無しNIPPER[saga]
2017/11/16(木) 02:13:38.96 ID:qrdjbAqX0
それからしばらく。
僕は持参の小説を読みつつ、サンディは店内に置いてある絵本を読みながら料理の出来を待っていた。
お互い手元の本をあらかた読み終えた頃に、お待ちどうさん、とタイミングよくオムライスが運ばれてきた。
産地直送のものをふんだんに使用したふわとろ仕上げの包み玉子、たっぷりの自家製デミグラスソース。
マスターがこだわり抜いて作成したチキンライス。
相も変わらず絶品だ。
オムライスに限らず、ここの料理は全品当たりでどれも美味しい。
サンディもうっとりした顔で舌鼓をうっている。
連れて来た甲斐があったというものだ。
あっという間に平らげて、胃が落ち着いた頃に食後のコーヒーが運ばれてきた。
サンディは食後の飲み物はアップルジュースにした模様。
ここのコーヒーは美味しい。僕がブラックで飲めるようになったのは、マスターの影響が大きいだろう。
そんな事を思っていると、彼の大きな手が一皿なにかを持ってきた。そのお皿をサンディの前に置く。
そこに乗っていたのは、苺のタルトケーキ。彼のお手製だ。
注文していないデザートが届いて、サンディは狼狽している。
「ああ、こりゃ余っちまったから勿体無くてな。お嬢さん、食べてくれるかい」
「よ、宜しいのですか?」
彼は返事の代わりに薄く微笑んだ。僕よりほんのちょっぴりハードボイルドみを感じてしまう。
サンディは何度も頭をペコペコ下げて、お礼の意を表している。
よせやい、早く食えと言わんばかりに手をしっしっとマスターは振った。相変わらず不器用な人だ。
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