167:名無しNIPPER[saga]
2017/11/16(木) 01:41:13.43 ID:qrdjbAqX0
車で十五分。平日という事もあり、さほど混み合う事無くスムーズに到着した。
住宅街の一角にあるその喫茶店は、周りにツタが生い茂っており、外から伺える店内は観葉植物が散見されている。
相変わらずロハスな雰囲気の喫茶店だ。
一つ惜しい所を挙げるとすれば、店の中の七割が花と観葉植物で覆いつくされているところか。良し悪しな部分だ。
季節ごとに花や植物が変わっているので、夏頃に来たらジャングルでコーヒーを飲んでいる気分になった事がある。
今は冬の花に染まっているようで、
外に咲く山茶花が僕らを出迎えてくれる。
カランコロンと入口のベルを鳴らすと、そこに見えるのは緑を基調とした観葉植物たち。
それに混ざるカランコエの橙色が良いアクセントになっていた。
今年の冬場はセンスが良いじゃないか、マスター。そんな事を独り言ちる。
「良い香りのするお店ですね」
サンディは花の匂いを楽しんでいる。お気に召してくれたようで何よりだ。
僕はおもむろにカウンターに座り、奥でコーヒーの豆を挽いている店主に声をかける。
「マスター、久しぶり」
「……おぅ」
横にいたサンディが、振り返った彼を見てびくりと身をすくませる。
痩せぎすの長身、無骨な顔立ち、そして頬に十字傷。どこの剣客かと。
いや、良い人なんだけれど、確かに初見だとカタギには見えないよなぁ……。
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