155:名無しNIPPER[saga]
2017/11/15(水) 23:38:34.56 ID:PX2kAcV30
彼女はまだ、治っていない。
時折フラッシュバックで体がガチガチに硬直したり、滝のような脂汗を流しながら青ざめた顔をする事もままある。
ぶるぶると震える彼女は、嫌でも昔を思い出しているのか、「ゆるしてください、ごめんなさい」と虚に唱えてしまう。
その都度「大丈夫だよ」と軽く抱きしめ、頭を優しく撫でてみる。何度も、何度も。
容体が落ち着いたら、組織から二週間ごとに投函される薬の中の一種にある安定剤を飲ませている。
そも簡単に治るのならばトラウマなどという言葉は生まれない。
医療機関で診断させろと組織に言いたいが、連絡手法もなく、向こうから一方的に封筒が届くだけ。
戸籍のない少女を病院に連れて行けば別所の輩に目を付けられますと事前に釘をさされている事もある。
僕が最善の治療薬になっている、とはたまに送られてくる封筒に添付された汚い字の文面に書かれているが、本当だろうか。
そうとしか信じるものもないのが現状だ。
とかく、サンディを一所懸命に守ってあげたい。
優しいこの子が幸せになりますように、と祈りながら護るのだ。
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