121:名無しNIPPER[saga]
2017/11/14(火) 07:37:24.67 ID:OiSFZpw30
食事を終えてからのひととき。
緑茶の淹れ方は先日覚えたので、お兄さんに新茶の一杯を持っていく。
ソファで新聞に挟まれていたチラシを整理していたので、手元から少し遠ざけて置いてみた。
ありがとう、と一言が返ってくる。
たったこれだけで心の柔らかい所がグッと掴まれたような錯覚を感じる。
この感覚の正体をようやく最近思い出した。
うん、嬉しいのだ。純粋に。
お気になさらず、とお兄さんに返しつつも、私はキッチンに駆け込んだ。
感情の処理の仕方が分からないので、そのまま衝動に任せてぴょんぴょん跳ねてみる。
そして二度三度ほど跳ねたら急に気恥ずかしくなった。控えよう。
持って行ったお盆で口を隠すようにして、少し呼吸を落ち着ける。
これから何かお兄さんの役に立てるような仕事はないかと探していると、
お兄さんが私を呼んでいる声が聞こえてきた。
今行きます、と返事をして、また駆け足で向かう。ペタペタと音を立てるスリッパがもどかしい。
そして彼の元まで向かうと、折り込みチラシを読みながら訊ねてきた。
「サンディ、今日はケーキバイキングに行かないか?」
私は首をかしげた。ケーキは分かる。砂糖が宝石の形になる食べ物だ。
ただ、バイキングが分からない。大男の作るケーキという事なのだろうか……。
詳細の程はよく分からないが、お兄さんの嬉しそうな笑顔を見ると、体が自動的に首を縦に振っていた。
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