40: ◆/dCcy0t.c.[saga]
2017/11/10(金) 23:38:49.23 ID:pFI4uOI20
それから何年か経って、コンクールにも出るようになったわ
最初はとても緊張したけど
41: ◆/dCcy0t.c.[saga]
2017/11/10(金) 23:50:40.81 ID:pFI4uOI20
それは中学校に入学して間もない頃のこと
つまりね。なんでもない昼休みに、学校の階段で足を滑らせて落ちてしまったの
42: ◆/dCcy0t.c.[saga]
2017/11/10(金) 23:57:04.75 ID:pFI4uOI20
こういうとき、どうしてか現実は概して残酷で
カルテは淡々と、そして無残に私を引き裂くように告げたの
43: ◆/dCcy0t.c.[saga]
2017/11/11(土) 00:01:12.58 ID:aeHp99P40
鍵盤を押していると、疼くように折れた指が痛むようになった
それでも、私にはピアノしかなかったの
44: ◆/dCcy0t.c.[saga]
2017/11/11(土) 00:03:32.79 ID:aeHp99P40
……もちろん結果は惨敗
賞をとるどころか、
45: ◆/dCcy0t.c.[saga]
2017/11/11(土) 00:08:48.06 ID:aeHp99P40
でも結局、私には最後までピアノしかなかったのよ
白と黒の鍵盤を追いかけるだけの日々が、寝ても覚めても、どれだけ追いやっても頭の隅に居座り続けて
46: ◆/dCcy0t.c.[saga]
2017/11/11(土) 00:23:05.00 ID:aeHp99P40
―――――
梨子「そんな不運で中途半端な弱虫が、私」
47: ◆/dCcy0t.c.[saga]
2017/11/11(土) 00:42:41.36 ID:aeHp99P40
その時、大きなトラックが店の前に停まった
同時に店の中から大勢人が出てきて、慎重にピアノを運び入れている
48: ◆/dCcy0t.c.[saga]
2017/11/11(土) 00:44:26.08 ID:aeHp99P40
梨子「ずっとあの音色を手に入れることが夢だった。……もう叶わないけどね」
私は右手を広げて、歪になった指を見つめる
49: ◆/dCcy0t.c.[saga]
2017/11/12(日) 21:03:55.06 ID:A7Q/ZjSg0
―――――
梨子「はぁ……やっぱりあのピアノだけは、私にとって特別なのよ」
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