210: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/01/09(火) 16:05:54.78 ID:stzXCINl0
勇者「だめだ。王無くして、国は統治できない。魔族には魔王が必要だ」
魔王「魔王の座は、我が息子に譲る」
魔王「我が息子は、新世代の中でも特出して言語の習得が早い。それに人間の文化に非常に興味を抱いておるから、人間に対して悪いようにはせんだろう」
魔王「それに奴は、私に匹敵するほどの魔力を有しておる。魔族共をうまく抑えることもできるであろう」
勇者「貴様の息子、信頼してもいいのか?」
魔王「奴は私以上に人間よりだよ。私には、いまだ旧世代の魔族の血が流れている。時折な、何もかも破壊してしまえと血が騒ぐのだよ」
魔王「しかし、我が息子であれば大丈夫だろう」
勇者「だが、若き王では旧世代の魔族をコントロールしきれないのでは?それで人類に被害が及ぶなら、俺は勇者として見過ごせない」
魔王「なれば、力の強い魔族、それこそ人々の集落を攻め滅ぼすほどの力を持つ者たちを魔王城に集めよう」
魔王「そのうえで、魔王城ごと封印するのだ」
魔王「いつかは破られるであろうが、まあ時間は稼げるだろう」
魔王「その間に、魔族は大いに学ぶであろうよ。貴様ら人間の事を」
勇者「それで、貴様はどうする?」
魔王「言ったろう隠居すると。人の街に居を構え、人の営みを眺めながら余生を過ごすさ」
魔王「だが、貴様の立場上それを許すわけにもいくまい?」
勇者「人に危害を加えないというのなら、手を下す必要はないが?」
魔王「国王の命を受けてここにきているのだろう。ならば貴様は何らかの成果を国に示さなくてはならない」
魔王「我が首持っていくがよい」
勇者「・・・人の話を聞いていなかったのか」
魔王「安心しろ、私が作り出した精巧な分身の首だ」
勇者「死んだふりか・・・だが、王国を欺くことは難しいぞ」
魔王「なれば、徹底して隠匿を図ろう」
勇者「具体的には?」
魔王「王国だけではなく、我が魔族たちをも欺くのだ」
勇者「息子にも黙って行くつもりか・・・」
魔王「なに、魔族の寿命は長い。いつかはまた、会えるであろうよ」
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