神谷奈緒「マーキング」
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13:名無しNIPPER[saga]
2017/11/02(木) 07:47:06.03 ID:yaYFtgev0
「気が散って仕方ない。早くここから出て行くんだ」


有無を言わさない強めの口調で、Tは奈緒に言葉を浴びせる。


「……何で、何でだよ……」


奈緒は縋り付こうとTに向けてそう問い掛けるが、彼から返答は返ってはこない。


彼は奈緒の顔を見ようともせず、書類に目を落としながらただただ黙っているだけだった。


「何で、そんな事言うんだよ、Tさん……」


Tの酷薄な態度にショックを受ける奈緒。


そして遂に堪え切れなくなったのか、彼女の瞳からは大粒の涙が零れ落ちる。


涙は幾度となく湧き上がり、幾度となく頬を伝っていき、彼女の顔を汚していく。


しかし、そんな奈緒の姿を目にしてもTは動じなかった。


泣きじゃくる彼女を宥めようともしない。何かしら声を掛けて落ち着かせようともしない。


徹底的に神谷奈緒という少女の存在を無視し、その心には何も響かなかった。









……の様に見せ掛け、彼はそう振る舞うのであった。





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