6: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:09:37.75 ID:s1IKgLXf0
「はふぅ……いいライブでした…………ムフフ」
掛け値なしにそう思う。幸せな、充実した時間だった。
帰り道の電車でSNSの感想をぼんやり眺めながら、ライブの記憶に浸る。それ自体はいつだってライブ終わりにやっていることだ。
だけど、ありさの心持ちはいつもと少し異なっていた。
……ありさは、どうなんだろう? って。
そんな言葉が頭の中に浮かぶようになっていたのだ。
綺麗だった。可愛いとか、応援したいって気持ちが、あの一瞬で切り替わった。
負けないって意志がこんなにも心を釘付けにするだなんて、ありさはぜんぜん知らなかったのだ。
あんなふうになれるだろうか。キラキラ、できるだろうか。
オーディション一つで委縮してしまうような弱虫なありさが。
ううん、きっとならなきゃいけない。
たくさんのアイドルちゃんに、少しずつ勇気をもらってきた。ようやく踏み出せた一歩、怖気づくには早すぎるから。
それに、と加えて思う。ずっと怖がっているままじゃ、何よりもアイドルちゃんに申し訳ないって。
アイドルちゃんが誰しも通る道なら、ありさだって逃げずに戦わなきゃいけないんだ。
よし、とかけ声をひとつ。
ぎゅっと拳を握って、ありさはもう一度SNSの海に潜った。
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