鷺沢文香「とある国語辞典にまつわる思い出」
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14: ◆ROiGFUMIKA[saga]
2017/10/27(金) 00:18:16.60 ID:iRLQJglJ0



若干興奮気味のプロデューサーさんをよそに、きっとこういうことを灯台下暗しと言うのでしょうね、などと一人で思考を巡らせます。

プロデューサーさんが他の栞も見せて欲しい、と言うので二冊の本に挟んであった栞を抜き取り、手渡しました。

「めちゃくちゃクオリティ高いじゃないですか」

「その、なんと申しましょうか。これは読書に付随したものでありまして」

「読書のおまけみたいなものってことですか?」

「端的に言えば、そうです。私はたくさんの書を並行して読むので……」

心惹かれた書を机上に積み上げて、それらを読むというものが家や書店などでの私のスタイルでした。

読書の息抜きに読書をするといったふうに、多くを並行して読むため、どこまで読んだのかという目印がたくさん必要になります。

つまり栞です。

この栞というのも、少々こだわりがありまして、できることならオリジナルのものが好ましいのです。

お気に入りの書に、自作の栞を挟みこむ。

簡単なことではありますが、そうすることで、私の分身が書の世界に入り込んだように感じられて、幸せな気持ちになります。

という旨を、プロデューサーさんにお伝えしたところ「素敵な理由ですね」と真剣に聞いてくださいました。



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