1: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/21(土) 12:13:25.38 ID:3SwLj5em0
子天狗「お呼びですかー?」
天狗「呼んだ。ちとー、そこに座りなさい」
子天狗「はいなー」ひょこ
天狗「実はお前さんに頼みたいことがあってな」
子天狗「はて、なんざんしょ。あ、でもでもー、お使いだったら嫌ですよー?」
天狗「この出来たばかりのキュウリの漬物」
子天狗「あいたたた、急にお腹の調子が」
天狗「食べてみないか? 美味しいぞ」
子天狗「確かに」ばりぼりばりぼり
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2: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/21(土) 12:14:46.90 ID:3SwLj5em0
子天狗「美味でしたー」ぺろり
天狗「だろう? で、ここにもうひと甕(かめ)分あるんだが」ドン
3: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/21(土) 12:16:17.58 ID:3SwLj5em0
キツネ「おーい、そこ行く子天狗やい」
子天狗「あ、お前は意地悪で間抜けな化け狐。ご用ですかー?」
4: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/21(土) 12:17:08.05 ID:3SwLj5em0
キツネ「アンタ、その甕届けもんだろう? 中身はキュウリの漬物だと見たね」
子天狗「昨今のキツネは鼻も効くな。流石はこの、狐畜生」
5: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/21(土) 12:18:32.85 ID:3SwLj5em0
キツネ「そうともさ。普通の農夫どころか猟師だって滅多なことじゃあ近づかない、
この恐れよ山までわざわざ来るような人間は――」
子天狗「迷子かな?」
6: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/21(土) 12:21:34.67 ID:3SwLj5em0
>>5訂正
〇キツネ「そうともさ。普通は農夫どころか猟師だって滅多なことじゃあ近づかない、
この恐れよ山までわざわざ来るような人間は――」
×キツネ「そうともさ。普通の農夫どころか猟師だって滅多なことじゃあ近づかない、
この恐れよ山までわざわざ来るような人間は――」
7: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/21(土) 12:22:41.84 ID:3SwLj5em0
キツネ「とにかく並みの人間じゃないらしいよ。噂じゃ魔払い生業の巫女だとか」
子天狗「過払い未払いのミコーさん? そうか、死因は借金苦」
8: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/21(土) 12:23:18.99 ID:3SwLj5em0
キツネ「人の話を聞いてたかい!? あっちにゃ怖ーい人間がいるよって」
子天狗「あっち? どっち?」
9: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/21(土) 12:24:01.54 ID:3SwLj5em0
子天狗「あっはっはっは!」
キツネ「……なんだいなんだい今度はまた。急に笑い出して気味の悪い」
10: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/21(土) 12:25:07.11 ID:3SwLj5em0
・一方その頃三本松。
巫女「おいたぬきー」
11: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/21(土) 12:26:30.89 ID:3SwLj5em0
巫女「それよかさ、食べる物ちゃんと採って来た?」
巫女「わたしさっきからお腹ぺっこぺこー。早いとこなにか食べさせなさーい!」
12: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/21(土) 12:27:45.26 ID:3SwLj5em0
巫女「たぬき、失敬したって何なのよ。返してもらってきたんでしょー?」
たぬき「はい、はい。仰る通り! 山の恵みは人の物、海の恵みも人の物――」
13: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/21(土) 12:28:39.57 ID:3SwLj5em0
巫女「そーゆーことを聞いてんじゃないの! アンタたち化け物連中は、人様の土地を荒し過ぎだって言ってんのよ!」
たぬき(よく言うよ……。いつの時代においたって、後から来たのは人間だろ)
14: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/21(土) 22:15:56.00 ID:3SwLj5em0
巫女「で、なにを採って来たの?」
たぬき「へへ、それが結構大量なんですよ。まずよもぎでしょ? それからぜんまいわらびにうどふきつくし――」
15: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/21(土) 22:17:00.88 ID:3SwLj5em0
たぬき「この山菜一つにしたってまぁ、管理している山爺の目を盗んで命からがらちょろまかして来たって代物なんですよ」
巫女「だから! ちょろまかすとか人聞きの悪い言葉を使うんじゃないって言ってんのよこのタヌ公っ!!」
16: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/21(土) 22:18:32.42 ID:3SwLj5em0
たぬき「一応火も起こしてから離れますんで。この茸でも焼いててくださいよ」
巫女「茸ねぇ……。あんまり好きじゃないんだけど」
17: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/21(土) 22:21:02.18 ID:3SwLj5em0
巫女「……うん、もういい加減食べていい頃よね? これ以上炙ると焦げそうだし」
巫女「それじゃ、いただきまー――きゃっ!」
18: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/21(土) 22:21:58.12 ID:3SwLj5em0
子天狗「恐ろしいんだぞ山火事はー。先月だって人魂連中の不始末で、髪結い山の頂にそれは綺麗な十円ハゲ」
子天狗「管理している山爺が、徹夜で植林したんだぞー!」
19: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/23(月) 03:53:49.21 ID:lC9UA1di0
子天狗「とはいえ逃げてばかりでも埒があかない。こっちにはお使いだってあるのだった」
子天狗「道草を食ってりゃ食うほどにー、駄賃がどんどん減るのです」
20: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/23(月) 03:54:43.96 ID:lC9UA1di0
巫女「あふぅ……」バターン
子天狗「ふぅ。悪は滅びた」
21: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/23(月) 03:55:35.63 ID:lC9UA1di0
子天狗「晴らせましたか?」
たぬき「それなりに」
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