4: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/10/19(木) 23:52:25.13 ID:S4DrTrVN0
一人で事務所の廊下を歩く。スニーカーの床を踏む音が静かな暗闇の中に反響する。もう季節は冬に差し掛かっていて、下の方にたまった冷たい空気が私の足先を攻撃してくる。この感覚はあまり好きじゃ無い。早く目的地に辿り着こうと、少しだけ急ぎ足になった。
「ん…あれ?電気が…」
急ぎ足のまま角を曲がると、暗がりの中に消えているはずの明かりが目に入った。どうしてだろう、誰かが消し忘れて帰っちゃったのかな。だったら、資料をとるついでに消して帰ろうかな。
誰もいないはずだし、とノックも声をかけることもせずに部屋のドアを開ける。見回しても誰も見えないので、やっぱり消灯しわすれて帰ったんだろう。
そう思っていた矢先、聞き慣れた低音が私の耳に入った。なんだっけこの音、本当に常日頃きいているような…あ、もしかしてパソコンのファンの音?
でもどうして、誰もいないはずのこの部屋のパソコンのファンが稼働しているのだろう?スリープモードでもファンが稼働するような状態は、電気代の面で千尋さんが真っ先に解決するだろうし。というかこの消灯してない状況もちひろさんは許さないんじゃ…。
だとしたら、電気も、パソコンもつけっぱなしにしてみんな帰っちゃったようなこの状況はおかしいような…。
少し不審に思って、ファンの音がした方へ行ってみると、疑問の答えは出た。この部屋には誰もいなかったわけじゃなくて、最初から私が見てなかっただけなんだ。
「ぁ…」
そこには、パソコンも電気もつけたまま、机に突っ伏して居眠りしてる一人の姿が。
私のプロデューサーだ。きっと、残業途中で寝落ちしてしまったのだろう。
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