9:名無しNIPPER[saga]
2017/10/15(日) 16:21:41.50 ID:bD1QFtux0
「言っただろ、それだけじゃないってのはソコなんだ。酔っぱらって、心が軽くなって、本心が出せる」
(今まさにそういう状態ってコトか)
「んー、つまり心情的に自由になれるってこと?」
「ああ。同時に本性まで出てしまうから、悪い方に働くことも多いけどな」
「……ふーん。自由人シューコにはいらないものかもねー」
あたしはいつだって自由だから、と付け加える口に含むのはジュース。この味にも不満はないから、お酒自体に興味はないのかもしれない。大事なのは、同じ時間を分かち合うってこと。
「まあ――いらないかもな」
ピアノソロ。その軽快な鍵盤の合間、酒気帯びのクセに冷静な声が聞こえた。
あたしはどうしてか、どうしてもささくれを感じる。
「……ウチの大人方も、常から自由にしてるようやけど?」
その物言いで、あたしは自分の口がひん曲がっているのが分かった。絶対にそんなことしたくないのに、ウチの人たちに悪口を言ったと思った。
「言ってやるな、そう見えるかもしれないけれど――そうは見えないけれどって言うべきか――あれでみんな気を遣ってるんだから」
そんで、当然『そっち』の肩を持つPさん。
あたしはやっぱり面白くなくて、再び沈黙が降りる。
あたしにお酒はいらないなんて。それが本心だなんて。
(その日が来たら一緒に飲もう、くらい言えよ)
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