10:名無しNIPPER[saga]
2017/10/15(日) 16:23:13.32 ID:bD1QFtux0
「――今日はずっとヘンだったが、今も変だな、周子」
「……ヘンじゃないどすー、ヘンなのはいつものことどすー」
Pさんは少し緩んでいた顔を難しげにした。今日これまでの出来事を振り返り、シューコのご機嫌ナナメな訳を探っているに違いない。
さてさて、本人にさえ分かっていない異変の理由に気付くことはできるのでしょうか――乞うご期待。
と、流石にそれはフェアじゃないからあたしも一緒に考えてみる。何がこんなに、今日に限って嫌なのか。
(――今日に限って、って訳じゃないのかも。偶々表出しただけで、きっとずっと蟠(わだかま)ってた何か)
溶けかかった氷の浮くタンブラーをストローでかき混ぜる。厳かな儀式の様に、静かに、慎重に。
その魔法の杖で繋がったのは、やっぱり今朝の夢。
たかだか夢をこうまで引きずるなんて、かつてのあたしだったらありえなかった。
何があたしをこうまで弱くさせたのか。
何がじゃないなら、誰が。
「ねえPさん。考えたんだけどさ」
「なんだ?」
お手上げ一歩前みたいな顔をしていたPさんはすぐに食い付く。
「あたしがもしアイドルになってなかったらどうなってたと思う?」
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