7:名無しNIPPER[saga]
2017/10/15(日) 16:19:06.01 ID:bD1QFtux0
「おー、さすがは敏腕プロデューサーさまだー」
「当たり前だ。一番のファンは俺なんだから気付くにきまってるだろう」
「…………」
今の、聞いた? すごい効いた。多分キメ台詞。
いつもなら、さしものシューコも乙女心揺らされてちょっとどうなるか分からなかったと思う。
「……反省してまーす」
でも、よりによって今日のあたしのテンションは、その視線をウザったいと認識した。
されどそれすら内心の照れ隠し。
本当は、一番大切な人をがっかりさせてしまった自分への嫌悪感で、相手のせいにして腐ることしかできない。
なんだか少しも面白くない。せっかく、せっかくの夜なのに。
「なら、いい。すまんな、仕事明けで疲れてるのに」
「いいよいいよー……いつも思うんだけどさ、おいしいの?」
何かに矛先を向けたくて、Pさんの唇が触れているモノを槍玉に挙げる。
「ん?」
飲みながら上目づかいのその表情は面白くて、ちょっとだけ笑えた。
間接照明のせいで何色かよくわからないグラスをあたしは指す。透明かもしれない。
「ていうか、なんての飲んでるの? カクテル?」
「ああ。おススメをって頼んだけど、なんて言ったかな……京都産のジンを使ったとかは紹介された覚えがあるが」
「京都産のジン、ねー」
お客さん向けの品やろなあ、とは言わない。
そして京都ジンとは死んでも口にするまい。親が悲しむ。
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