モバP「酸っぱいぶどう」
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17:名無しNIPPER[saga]
2017/10/15(日) 16:34:37.70 ID:bD1QFtux0
「周子、昔と今を混同するなよ。根無し草の冒険が出来るほど、今の周子は強くない。居場所、作っちゃったからな」

 居場所、と言われてすぐに浮かぶ光景。

 あの騒がしい事務所。

 夏はベタつき冬は冷たい寮のソファ。

 百花繚乱大和撫子な面々のさなか。

 絢爛豪華露出過多な連中の一角。

 そして、

「もう周子は、ひとりじゃ何もできない。もっと言えば、独りで出来るようなことが求められる次元に居ない」

 そして、たぶん、掌の上。

「それは皆にとっても同じだ、周子抜きじゃ何もできないし、周子以外に埋まる穴でもない。それが居場所ってやつだよ」

「それは」 

 薄暗くても、声音までは隠してくれない。

 それでも、訊く。

「Pさんに、とっても?」

「当たり前だろ」 

 迷いの無い返答。


 あたしは今度こそ、黙って席を立つ。

 どこにいくのか、なんて聞かれなかった。

 引き留められもしなかった。
 
 あたしの居場所はここにあるから。

 必ず隣に帰ってくると、当たり前に信じているから。




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