モバP「酸っぱいぶどう」
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14:名無しNIPPER[saga]
2017/10/15(日) 16:28:31.85 ID:bD1QFtux0
「アイドルになろうとなるまいと、俺と会おうと会うまいと、周子はどうとでも生きられたと思う」

 かつて無く鋭いその目付きは薄暗い店内では何かの亀裂の様に見える。

「すんなり実家に帰って看板娘を続行してたかもしれないし、いつだったか自分で言ってたみたいに、夜を渡り歩いてびっくりするくらいの金回りで浮き名を流したかもしれない」

 分からなかった意味が分かり始める。

 理解を拒んでも耳が離れてくれない。

「周子は何かにつけ要領はいいし、才覚もあるから」

「それが」 

 言い終わるか否かの頃合いで耐えられなくなる。

「それが答え? その……あたしなら、どうにでもなるっていうのが」 



 自頭がいい。

 才能がある。

 どこでも通用する。

 ――強い。

 散々言われた。今でも言われる。

 悪い気はしないと自分に言い聞かせ、努めて飄々と振る舞った。
 
 でもその度に、お前は独りで生きて逝けと言われているような気がしていた。

 ひとりで何でもできる子と言われるのは、ひとりでは何もできないと評されることの何倍も悲しかった。



「それが答えなの?」



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