かきね「すくーる?」
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7: ◆q7l9AKAoH.[saga]
2017/10/09(月) 04:05:52.88 ID:CdsvNY5b0

「おれね、もうだいじょぶ。ごさいはひとりでなんでもへーきなんだよ。えらい?」

おねえちゃんうれしい? と確認しながら仲良し仕様で喋ってくれている。
とても……これがあの垣根帝督なのか。
知っている人間ほど、ありえないと笑って首を振りそうな状況だ。

「そう。立派ね。あ、あっちでひとりぼっちになってるおにいちゃんにも声かけてあげて?」

さっきバッサリ拒否られた誉望は遠巻きに様子をみていた。
と言うか既にスマホを取り出して寂しく暇を潰している。

「おーい」

「はい……」

「ちゃーんとなかよししてやるからな」

「なんか……やっぱ垣根さんっスね?」

五歳児とは思えない立派なドヤ顔で仲良し宣言。
小さくなっても小さい時でも似ている部分はあるのかもしれない。



だんだんとここに慣れてきたのか、部屋の中を見ていたかきねは窓に駆け寄ると歓声をあげた。

「こーそーまんしょんだ! すごーい!」

第三学区のこのマンションは『スクール』の隠れ家の中でも特に眺望がいい。
夜になれば学園都市中の夜景が一望できそうな一室で、ちいさな子どもは無邪気に目を輝かせている。

「おねえちゃんたち、おかねもちか?」

「そうっスね。ま、一番は垣根さんなんだよな」

「たかーいな」

「そうね」

「くるまがありさんだ」

「そうですね」

すごいなーと窓ガラスに顔をくっつけるようにして外を見るかきね。
それを見守る二人はほほえましい姿にあいづちをうっていた。
と、大人しくしていたかきねは急にガラスをぺちぺち叩いたり押したりしはじめた。

「あかない。あかないぞー?」

「この窓はあけてないのよ。危ないから見てるだけね」

「実は外からも開くんスけどね」

「誉望君?」

本当は大きく開くだけでなく、この窓は特別仕様にされたおかげで外からもスライドする。
こどもどころか大人一人楽に通るのを今教えても危ないだけだ。
だと言うのに余計な一言を口走る誉望に素早い心理定規の牽制。
見事にきまって、誉望はあっやべっとはっきり顔に出してから話をそらした。

「ほ、ほーら垣根さん、ふははは人がごみのようだー!」

「……なに?」

ちょっと考えてから首を傾げられる。
有名な国民的アニメ映画でも、五歳のかきねは元ネタがわからなかったらしい。
通じないパロディやギャグの解説ほど虚しいものはないらしいが、スベった誉望はまるでそれが当たり前のようにセリフの意味を教えようとしていた。

「人がいっぱいいる所や高い所ではそう言うんですよ。大佐ごっこですよ。ほーら。ごみのようだー」

「ふっふっふー。ひとがごみだー」

「あらら。言い切っちゃったわね」

「それじゃあ垣根さん次は意識高い高いをですね」

「こら。もう、おかしなことを教えないの」

口げんかのように見えなくもないやりとりだが、かきねはもう怖がらずに二人の様子を見ていた。




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