かきね「すくーる?」
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67: ◆q7l9AKAoH.[saga]
2018/05/11(金) 04:01:54.72 ID:dqOtcDic0

じっと黙っていてもかきねが様子をうかがっているのが誉望にはわかった。
このごっこ遊びで、機嫌を損ねでもしたらいったいどうなってしまうのか。
今は遊びに誘った本人よりも、つきあっているだけの心理定規の方がなぜか威圧的に感じていた。
笑顔の裏の圧力がおっかない。
そんなことを誉望は、使役される側の人間として発揮する察しの良さで気付いていた。
もし、最悪泣かせると……どうなるかわかったものではない。
そんな風に緊張感がまして、思わず唾をのみこむ。
いつものように胃が痛くなったように感じたのはおそらく誉望の気のせいだが。
たかが子どもの遊びだったはずが、元・超能力者のリーダーの手にかかるとどう転ぶかわからない駆け引きに早変わりしていた。

「……」

「ほんとかな? ねんねんしてるとね。へんないびきをかく」

「あら、そうなの?」

「そーなの」

黙って寝たふりをしようとしている誉望に、更に難題が振られた。
疲れた人を休ませたいはずなのにこのリーダー、ではなく今はお父さんは、なかなか無茶を要求してくる。

「スヤァ…スヤァ…んごご…ぴー、しゅるしゅる……ブフッ」

最後の最後で我慢できずにしくじってしまった。
おやすみ判定に失敗した誉望に、かきねはドヤ顔(ちいさめ)でもう一枚毛布を広げて迫ってきた。

「あーっわらった! おきてるだろわるいこさんめ! もっとぐるぐるするか?」

「わーっ寝ます、寝ますって!」

これ以上物理的な優しさ(毛布)に包まれたら窒息してしまうかもしれない。
既にほとんど身動きの取れない誉望はブンブン首を振って必死でお断りをした。
残念そうだったが、最終的に誉望がいいこにしていることに納得してくれたらしく過剰包装は回避できた。
しかしこのお父さん、寝かせたいのか遊びたいのかどっちなのか。

「よーし。ばんかはおやすみだ。おねえちゃんはなにしてるのかな?」

誉望は大人しく、毛布に顔を埋めてじっとしている。
おつかれさんをお休みさせるミッションを終えて、満足そうなかきねは今度はこどもそのにの心理定規の隣に座った。
心理定規はファッション雑誌を手に続きを読んでいた。

「ごほんよんでるのか。えらいぞー。なんのおべんきょ?」

「ここに書いてあるのは……お洋服とお化粧かな?」

「なんでおようふくのおべんきょするの?」

「そうね……みてると楽しいし。着たい服が増えるのよ。買い物にも行きたくなっちゃうけど」

「そっか。おねえちゃんかわいいのにもっとかわいくおべんきょするんだなーえらいぞー。よしよし」

そう言って小さいお父さんはよいしょ、と心理定規の頭をぽんぽんした。

「ふふ、パパはなんでもほめてくれるのね?」

「おとーさんはとってもえらいからな。えらーいひとはみんなをよしよしするのもたいへんなんだ」

「そう。大変ね」

珍しく、少し照れくさそうな顔をした心理定規だったが。
すぐいつものように笑うとかきねの髪をくしゃくしゃっと撫でた。
既に何度か試しているので、頭を撫でるとかきねが嫌がるのは知っているはずだった。
嫌がると言っても恥ずかしいのか、

「もー、やめて!」

とぷんぷんするくらいだったが。
自分もされたお返しだよと言いたそうな心理定規の手から、かきねはやっぱり頭を下げて逃げてしまった。

「こら、ぱぱをよしよししないの!」

「お仕事の間お留守番してたの。私も偉いでしょ?」

ご褒美、と言って心理定規が腕を回す。
つかまってしまったかきねはちょっと考えてからよいしょ、とおねえちゃんの頭にもう一度手を伸ばした。

「もー。おねえちゃんあまえんぼだな。よしよし。はい、じゅんばんだよ」

「じゃあ次は私がしていいの?」

「いいよ。とってもえらーいできたもんな。ごほーびだもん」

しょーがないなーと言って撫でられてあげるかきねだが、嫌そうな顔はしていなかった。



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