43: ◆q7l9AKAoH.[ saga]
2017/12/31(日) 23:25:10.04 ID:RLcoTAaT0
「俺の胃がストレスでマッハです。光と闇が合わさると頭がおかしくなって死ぬ……」
「あら大変。現状の対策がわかるまでまだしばらくこの子と一緒だろうから……少しくらい距離が縮まったくらいじゃこれから困るわね」
どうやら心理定規の見立てでは、誉望もこの荒療治でちょっとくらい対・小さい子経験値が積まれたようだ。
それでもまだまだ克服のレベルアップには遠いらしい。
ヒットポイントでも消費してしまったのか誉望はキッチンへ向かった。
冷蔵庫を開けるが……中にあったのはいつ開けたかも怪しそうなペットボトルが数本。
普段長く居座るような隠れ家ではないからだろうが、それにしてもすっからかんだった。
「あ、俺何か冷たいもの買ってきますよ。麦茶も切れてるんで」
「じゃあお願いしようかな。この子のもよろしくね」
気分転換をかねてのパシ、おつかいの提案を心理定規は笑顔で送り出した。
「ただいま戻りましたー」
「あら……早かったのね」
誉望がコンビニから帰ってくると心理定規は独りでテーブルの前に座っていた。
かきねはまだソファで寝ているようだ。
ドアを開けたら、心理定規は一瞬慌てたようすで携帯をしまった。
「どうかしましたか?」
「なんでもない。ああ……ちょっとメイク直してくるわ。私まで汗ばんじゃった。後、いいかな」
何だか早口でそう言うと。
心理定規はかきねをみてるよう言い残してトイレにいってしまった。
普段から察しの悪いことに定評のある誉望でも首を傾げる。
「はいっス……そんなに部屋暑かったか? え。戻ってくるまで我慢してたんスかねえ」
「……よぼー?」
「垣根さん。目が覚めました?」
「ねえ。おねえちゃんは?」
誉望の声を聞いたからか、かきねはソファの上から起き上がった。
小さな声で話しかけられてなんだなんだと近づくと。
心理定規がいないと心細いのか、不安そうにかきねは誉望を見上げた。
「心理定規ならあっちに」
「おねえちゃん……どうしようって。おねえちゃんたいへんか? かえってくる?」
「へっ? どうしたんスか垣根さん」
「おねえちゃんちっちゃいこえでおはなししてた。このままじゃはなしちがうって……おれなんかしたか? おれわるいやつか? こまるといなくなっちゃうか?」
かきねも困った、というか混乱した様子だが一気にそんな話を聞かされて誉望もこまってしまった。
なによりおろおろしているかきねにビビっていた。
「ちょっちょっ待って下さい。んな……なんでまた。心理定規はそんなことしないし、もしも何かあっても垣根さんは何も悪くないですって」
「……ほんとに?」
「大丈夫っス。垣根さんてば怖い夢でも見たのか? ほら、そんな顔しないでください。えっとそうだ何か飲みましょう。ジュースも買ってきたっスよ」
もしかしたら夢じゃなく本当に任務か、バイトの電話でもはいったのかもしれない。
勘違いでも、かきねが今にも泣きそうなくらい不安がっているのは間違いない。
泣くのはまずい。
なんとかそれは回避しなければ、と誉望も必死でなだめた。
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