39: ◆q7l9AKAoH.[ saga]
2017/12/31(日) 23:16:02.00 ID:RLcoTAaT0
二人して、一度肩を落としてはあ〜〜っと息を吐く。
小さい子どもの相手は大変そうだがこの二人の場合それ以上の事情が大きく影響してくる。
あの……普段から扱いに困る俺様超能力者のリーダーがその相手で。
何だか前とはイメージが違うような、ちょっと似ているような、やっぱりキャラがなんか違うようなそんなややこしいことになっているから余計だろう。
すでに散々遊んでいただいた誉望は疲れ切った様子で頭を抱えていた。
「ああああああー、あーあ。あれは本当に垣根さんなのか? あれがどうなると、リーダーの垣根さんに進化するのか俺にはさっぱりわからない!!」
どうやら大きなリーダーと小さなリーダーのギャップが想定以上にこたえたらしい。
かきねはどちらかと言うと素直ないいこの印象だ。
最終的には……本気かどうか底知れない笑顔で返り血や周囲の被害も構わずに容赦なく能力をブチかましてきそうな(※組織内のイメージです)お腹の中が黒そうなおっかないイケメンになるんですよ、と説明してもきっと誰も信じてくれない。
それくらい差があるから、誉望の混乱ぶりもしかたないだろう。
ビジュアルはどちらも天使なのだが、もしも。
あの健やかなおこさまっぷりが本来のスタートラインだったとしたら。
垣根の子ども時代はどこかで育成を間違えてしまったのか。
「私にもわからないわよ。小さい頃はみんなああじゃない? 君だって純粋でかわいい頃が……あったの、かしら?」
「うーん……自信ないっス」
誉望少年は……アリの巣に水を流し込んでジト目でじっと観察していそうだ。
今は、すっかり成長してキラキラした目でアニメを見ている誉望万化君、暗部構成員は。
現在よりは少し前、現状よりはずっと未来の本来の垣根に考えをやってからもう一度唸った。
「う〜〜ん。やっぱ、劇的過ぎるアフターの方を知ってるだけに、なんかあのビフォーの垣根さんは気まずいんスけど」
「そうね……でも、彼も割と子どもっぽいところがなかったかな。あそこまでじゃないけど」
「なんかすでに垣根さんの片鱗があるんスよね。マイペースっつうか、俺様っつうか」
「思ってたより手がかからなくて良かったじゃない。彼の子供時代があのままだったらちょっとね」
「扱いがわかんないのは……よく考えなくても一緒かもな」
大変さの種類は違っても苦労はかわらないかもしれない。
そんな風に好き勝手言い合う部下たちだが。
鼻歌交じりで遊ぶ小さいリーダーの方を見て、心理定規は口元をほころばせる。
「それでもあの子は可愛いから。大体のことには、前よりも我慢できる気がするわ」
優しい表情とセリフがちょっとあっていない気もするが彼女の場合はこれがデフォ。
クールなおねえさんキャラは、使い分けも切り替えも上手なのかもしれない。
実際は『スクール』の中でも年下の方だが精神的には一番しっかりしていそうだ。
「どっちにしても大変なんスよね、頑張って言うこと聞いてしんどさに耐えれば…なーんだおんなじだあー」
「しっかりしてね。誉望おにいちゃん」
一瞬持ち直したように見えたが誉望はちょっと遠い目をしてうっすら微笑んでいた。
嫌なタイプの悟り方をしているのを、心理定規は呆れた様子で声を掛ける。
これっぽっちも応援する気のなさそうなガンバッテーだった。
ひとりでいいこで遊んでいるかきねの所に戻る前に、心理定規はどこかに連絡をとっていた。
メッセージを送ってからわざわざ電話をかけるのをみていた誉望がどうしたのかと尋ねる。
心理定規は携帯端末に目を向けたまま答えた。
「Aチームの子たちに買い物を頼んだの。あの子の服と靴と……何かと物がいるから。必要なのものはあの人も手配してくれてるみたいだけど。すぐ使うものは早い方がいいでしょ」
「確かにいつまでもセーターおばけって訳にもいかないっスよね」
元々着ていたセーターをだいぶ余らせたままで今のかきねは活動している。
それでは不便なこともおおいだろう、何より布一枚では外には連れ出せない。
うなずいた誉望から、そんな保護者らしいまともな認識を感じたのか。
心理定規は、
「よかった。そう言う感覚が君にもあって」と、少し安心した様子でつぶやいた。
「ええっ、小さい子がこんな変なかっこしてんのを放置とかないですって。あれよりRPGの初期装備ぬののふくの方がましじゃないスか。防御は低いし、即事案っスよ? そう言えば、なんでわざわざ電話したんスか?」
もう下部組織のやつらにはHUKIDASIしたんですよね? とわざわざ二重に連絡を取ったことが誉望は不思議だったらしいが、
「直接お願いした方が効果が高いのよ」
そう言ってにこっと笑って見せる。
流石は心理定規。
彼女は日ごろから、その辺の下っ端にまで人心掌握術を駆使しているらしい。
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