38: ◆q7l9AKAoH.[ saga]
2017/12/31(日) 23:14:27.02 ID:RLcoTAaT0
残念ながらクレヨンなんて気の利いたものは暗部組織の隠れ家にはなかったので、かきねは黒いペンでおえかきをしている。
もっとかっこいーのがいい! なんてわがままを言うかと思いきや、たのしそうに絵を描いてはおねえちゃんに説明したりしていた。
「垣根さん動物好きなんスか?」
誉望が話しかける。
ごほんでみた! と元気なお返事をしてくれた。
何が好きかきいてみると、かきねはなにか一生懸命考えてからギザギザしたものをかきはじめた。
「らいよん。おうさまなんだろ。かっこいーだろ? がおー」
らいよん……ライオンのことだろう。
さっきのはライオンのたてがみだったのか。
特徴をとらえた独創的な画風でもしゃもしゃした四本足の動物を描くと、びゅーん!! と言いながらその上に横線を豪快に引いていく。
心理定規の分析では、どうやら走っている躍動感を表現したいらしい。
小さな画伯は仕上がった作品をみて満足そうにうなずく。
「らいよんみたいなー。ほんもんの! どこにいるの?」
「本物は動物園ね。野生のはアフリカかな?」
「やせいって?」
「元々住んでるところだから……前のおうちかしら?」
動物園におひっこししにくるのよ、と心理定規がうまく説明する。
「へー。あふりかってどこ?」
「遠い国よ。海の向こう」
「うみ?」
「そうね……ここは海も遠いわね」
うみってなあに? と首を傾げるかきね。
知っていることもあれば、まだしらないことの方が多そうなちいさなお子様にはいろいろ難しい話が多そうだ。
海は広くておおきくて、水とおさかながたくさんあるところよ、とおねえちゃんが説明する。
その海を越えた先にある他の国がアフリカっスねーと誉望もフォローした。
「あふりかとおいのか。いっぱいかかる? ひゃくじかんくらい?」
「そっスね。外国はいっぱい時間がかかりますよ」
「あ! でもさー、ろけっとでとんでったらすぐだよ」
「ロケットは」
「すぐっスね」
「へいほー、びゅーんおそらをひとっとびー♪」
両手を翼のように広げて、ぶーーん! と飛行機ごっこをするかきね。
楽しそうだが、ロケットと飛行機で連想したものに保護者二人はちょっと苦笑いだった。
ロケットより速い超音速旅客機なんてものも学園都市にはある。
それは間違いなくあっと言う間に外国へも行けそうだったが、恐らくその後回復に充てる時間がかかりそうな代物だ。
「ロケットや飛行機もいいけど。お船でのんびりするのも楽しそうじゃない?」
「えー。ちんぼつしない?」
「ふふ。そんなに簡単にしたら困っちゃうわ」
「そっか。せかいひゃくしゅーして、だいぼーけんしたいな。おねえちゃんもつれてってか? おみやげはねー……」
「……心理定規」
「……ええ」
壮大な冒険計画をおはなししながら紙に地図か動物かよくかわらないものを描き広げている。
そんな微笑ましい様子のかきねに、ちょっと待っててねとにっこり笑って。
心理定規は声を掛けてきた誉望と一緒にテーブルから離れた。
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