8:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:06:51.49 ID:Qz0ENqNrO
「ふへぇ……疲れたぁ」
ついつい床にへたり込んでしまう。ひんやりとした床の温度が、レッスン終わりの火照った体を冷やしてくれてどこか気持ち良い。
「遅刻したから追加で筋トレなんて、酷いよ」
9:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:07:39.66 ID:Qz0ENqNrO
「あれ、翼がいない?」
「翼なら、さっき……瑞希さんたちとどっか、行ったよ…………?」
「えー?」
衝撃の事実。私はすぐにスマホを取り出して翼に電話を――なんだろう、デジャなんとか? の感じがする。
10:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:08:11.39 ID:Qz0ENqNrO
「杏奈っ。一緒にお昼食べない?」
「えっ……」
えっ。
杏奈にしては珍しく嫌な顔を一瞬浮かべられて、思わぬショックを受ける。
11:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:08:46.44 ID:Qz0ENqNrO
…………やっぱり寂しいかも。
私は自分のお弁当に箸を伸ばしつつそんなことを思った。
最初は私も普通に会話に入っていけたけれど、気づいたら、ね。
「杏奈ちゃん。今日はあのダンジョン行こうよっ。クリアすると『暴風の魔将』っていう称号が手に入るんだって!」
12:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:09:15.34 ID:Qz0ENqNrO
「そう言えば未来」
「ふぇ?」
ぼーっと考え事をしていると、百合子ちゃんに話しかけられていた。相変わらず杏奈と密着しているのは流石って感じ。
13:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:10:21.98 ID:Qz0ENqNrO
「あれだよ。いつも同じ人と食べてると飽きちゃうっていうか……」
「でも杏奈は、百合子さんとのご飯…………全然飽きないよ……?」
「私もだよ杏奈ちゃーん!」
また杏奈を抱きしめる百合子ちゃん。満更でもなさげに、百合子ちゃんの頭を撫でる杏奈。
14:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:12:14.68 ID:Qz0ENqNrO
午後のレッスンも終わって、シャワーを浴びてスッキリ。
窓の外は橙色に染まっていて、いつもよりも長く感じた一日の終わりを告げているみたい。
取り出すのはスマホ。目を瞑ってても入力できるその数列を打ち込む。
待つこと数秒。
15:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:12:41.72 ID:Qz0ENqNrO
数分後、翼がやって来てくれた。思えば今日初めてまともに顔を付き合わせてるんだよね。凄い久しぶりに感じるよ、翼。
「急に呼び出したりなんかして……せっかく他の娘とカラオケにでも行こうと思ったのに」
顔を合わせてもやっぱりケロッとしている翼。私の気持ちなんてカケラも知らないで、全く。
16:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:13:30.46 ID:Qz0ENqNrO
「…………良かったよ」
「翼?」
ボソリと、翼にしては珍しく弱々しい言葉。
きっと私しか聞いたことのないような弱み。
17:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:14:13.59 ID:Qz0ENqNrO
そんなことを思って顔を見合わせて、お互い自然に笑みがこぼれてしまう。
嬉しいな、翼と一緒だとこんな少しのことですごく楽しくなれるの。
ただの友達とは全然違うよ。
「恋人らしいことなんて無くても、やっぱり恋人でいようねっ。翼!」
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