5:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/03(火) 23:45:41.84 ID:vJhWZrnk0
八月。
じりじりと照りつける太陽は、青空にふんぞり返って痛いほどの光を届けている。
「もう! ほんと嫌になっちゃうわ!」
「あはは……」
「なに笑ってるのよPさん! こっちは怒ってるのよ!」
昂った様子で不満を漏らすレナさんが落ち着くにはしばらくかかりそうだ。
「って言われても」
「何! あいつの肩を持つっていうの!?」
「違いますよ。俺も男ですしレナさんと仲良くしたい気持ちはわかるってだけです」
「私だってそれくらいわかってるわよ。でもあの態度は気に食わないの!」
「俺にどうしろと……」
心の中で小さくため息を漏らす。
だらだらと走らせる車内で助手席に座る彼女はむすっとした様子で通り過ぎる人並みを眺めている。
「……美味しいご飯が食べたいわ」
「それはまた随分と現金なことで」
「いいじゃない! それともこのまま事務所に戻れっていうの!?」
「そうは言ってないですよ。でも、ほら」
「気にしなくてもいいわよ。私が奢ることになったら行きたいとこにいくだけだもの」
「ならいいんです」
「でも」
レナさんはポーチからコインを取り出し構える。
「どうせなら、行ったことのない店に行ってみたいわよね、Pさん♪」
ああ、困った。
神様がいるなら、どうか俺の願いを聞いてくれ。
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