6:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/03(火) 23:46:47.92 ID:vJhWZrnk0
九月。
レッスンルームで舞う彼女はいつにも増してやる気に満ちていた。
「お疲れさま、調子はどうですか?」
「いい感じよ! これなら大成功間違いなしね!」
汗を拭い、機嫌のよさそうな笑みを浮かべているが、どことなく疲れが見て取れる。
「さすがですレナさん。でも、あんまり疲労を溜めないでくださいね。当日になって倒れられるのは困りますから」
「心配してくれてありがと。大丈夫よ。どこかの誰かさんがちゃんと考えてくれてるもの」
「誰でしょうね、お礼を言いたいものです」
少し照れくさくなってとぼけてみせた。
それがなんだか馬鹿らしく感じて、ふっと、笑みが零れた。
「Pさん、少しいいですか」
トレーナーの方に声をかけられた。
ライブに向けた調整の打ち合わせだろう。当然、今日はそのために時間を作ってきた。
ダンスの完成度や演出との兼ね合いについて、専門的な技術を俺が持たない以上なくてはならない話し合いだ。
腰を下ろしての話し合い。質問を投げては答えてもらう。これもすべて、ライブのためである。
打ち合わせも終わってレッスンルームから出ると、彼女が壁に背をもたれていた。
「終わったのね、じゃあ行きましょう」
停めていた車に乗り込み、イグニッションキーを回す。低く唸るエンジン音を聞きながらアクセルを踏み込んだ。
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