3:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/03(火) 23:42:49.41 ID:vJhWZrnk0
俺と彼女、二人の昼休憩が重なることはそれほど多くはない。
デビューしたての頃とは違って舞い込んでくる仕事の数も多くなり、どうしたって一緒に仕事場を回ることができない日が否が応でも増えていた。
それに伴って一緒に食事を摂ることができないなんてことは当たり前にある。
そんなある日、都合がつくということで現場まで足を運んだ俺は彼女から食事に誘われた。
「たまにはゆっくり……ね」
その日も今日みたいに上々な結果を出した日だったと思う。
彼女の手には一枚、コインが握られていた。
コインを弾く。
手でそれを受け止める。
俺と彼女が答えを予想する。
どちらかが正解する。
出目を当てれば食事を奢る、なんて大の大人がやるにしては少し子供らしいことのように思えたが、二人がそれについて深く考えなくなるのに時間はかからなかった。
都合が合えばコインを弾く。
弾いては奢って。
弾いては奢られて。
次第には仕事とは関係のない時にも。
コインは俺達の運命を握っていた。
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