2:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/03(火) 23:41:30.23 ID:vJhWZrnk0
きぃん、と。
金属が震える音が聞こえる。
両手の平と平でそれを受け止めると、たしかにらしさを感じる重さだった。
「裏ね」
「じゃあ俺は表で」
手を広げて見せると、何も知らないコインが鈍く輝いていた。
「今日は私ね」
「ええ、じゃあ頼みます」
「何か要望はある?」
「ここ最近で他のアイドルと行った所なんてどうですか?」
「ふふ、それが入りづらかい店だったらどうするの?」
「それも負け運ってことです」
「潔いわね。ま、楽しみにしてなさい♪」
「楽しみにしてますよ」
俺の担当アイドルである兵藤レナは勝負事に人一倍強い思いがあり、ディーラーを辞めて足を踏み入れたアイドル業界においてもその気概が失われることはなかった。
その熱意を感じたのかは定かではないが、生活を支えるには十分すぎるほどの仕事を頂いている。
今日もその仕事の一つを終えたばかりだった。
これといった失敗もなく、滞りなく進んだ。
方々に挨拶をして荷物を片付ける、楽屋を出る頃には太陽は真上で輝いていた。
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