24:名無しNIPPER
2017/10/01(日) 01:34:04.03 ID:/zESL2O40
扉を眼前にして二の足を踏む。あの時の私は明らかに不審な退出の仕方だった。
休憩室から戻ってきた私を、皆はどんな目で見るだろうか。
事故の話題が上ったあの部屋で、私は居場所を作れるだろうか。
うじうじと立ち尽くしていると、私に向かって急に扉が開いた。
目の前から迫ってくる扉を避けられるわけもなく、額に激突する。
「南さーん……って、あっごめん!」
ことり「あ、いえ、私もぼーっとしてたんで……」
思っていた以上に時間は経過していたようで、心配した上司が様子を見に来た。
体調は大丈夫なの、と気遣ってくれたけど、今はその優しさが痛かった。
そしてその気遣いに問題ありませんと答えた以上、ここに留まっているわけにはいかない。
一心不乱に励めば、居場所がどうなんてまた気にならなくなるはず。
上司に連れられ、私は仕事場に戻った。
──そもそも轢き逃げ犯に居場所なんてあるわけがないことは、考えないことにした。
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