23:名無しNIPPER
2017/10/01(日) 01:33:34.26 ID:/zESL2O40
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不自然さも厭わず、休憩室に逃げ込む。
食欲なんてまったくない。そもそも昼食を持ってきてすらないけど、あの場に居続けられるわけがなかった。
轢き逃げの話題以上に「あの事故で」の続きを聞くのが怖かった。
もしかしたら、この恐怖最大の原因だけでも払拭できたのかもしれない。
でも、最悪の事実が告げられた場合のことを考えると血の気が引いていく。
脳裏に過るのは、またあの光景。
ことり「ぅぷ……」
事切れたように道路に伏す少女の姿に、胃からモノが込み上げてきた。
梨子ちゃん、梨子ちゃん。
私が轢いたあの子の名前。美術部らしい。
彼女についての情報が増えると同時に、浮かんだ映像がよりはっきりと輪郭を帯びた気がした。
ダメだ、振り払えそうもない。嫌に明瞭に切り取られたあの瞬間は、目に、脳に、完全に焼き付いてしまっている。
仕事に没頭している時間に、精神的な安息を求めるしかない。
休憩室で私は、なにも食べずにぼーっと時が経つの待ち、その後仕事場に戻ろうとしたところで立ち止まる。
ことり「戻りたくないな……」
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