57: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 15:56:26.00 ID:r5zFZECu0
奮発して購入したワインは酸味と甘みのバランスが取れていて、とても飲みやすかった。
加え入れたジャムの果実感も味を濁すことなく、むしろ鼻に抜ける香りが良かった。
それを少しずつ飲みながら、ぼんやりと昔のことを思い出していた。
もう何年も前のことなのに、つい先日のことのように感じられる。
「P様」
それは、まるで布を織るように丁寧な声だった。
「うん?」
「お伝えしたいことがあります」
耐熱グラスの縁あたりに視線を落としながら、彼女はそう言った。
まだグラスの半分ほどしか飲んでいないのに、彼女の頬は染まりつつあった。
「あなたが事務所に帰ってこられる少し前に、教会から連絡がありました」
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