【ガルパン】桂利奈ちゃんがラーメン屋を潰す話。
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1: ◆nvIvS/Qwrg
2017/09/30(土) 05:44:00.62 ID:gbso4KrM0
お世話になっております
また投下させて頂きます
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/30(土) 05:46:32.61 ID:gbso4KrM0
【とんかつ屋編】
座敷童子。
横浜の、とあるとんかつ屋。
3: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/30(土) 05:48:41.38 ID:gbso4KrM0
無愛想ではあるが、特段、機嫌が悪いという事もない。
彼女が無愛想な原因は大抵の場合、眠気のせいである。
不規則な生活のせいで朝が弱く、酷い日は昼も弱い。
しかし現在は既に夕刻。
4: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/30(土) 05:51:25.43 ID:gbso4KrM0
麻子の対面に座った少女が自分の事を揶揄されたと思ったか、何ですって、と声を上げる。
こちらは園みどり子、略してそど子と呼ばれている。
麻子とは対照的に、髪をおかっぱに切り揃えた、毅然とした顔付きの少女。
今日はその髪を後ろでひとつに束ねている。
5: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/30(土) 05:54:23.81 ID:gbso4KrM0
「座敷童子って何だか分かるか、そど子」
言われてそど子は考え、着物を着ていておかっぱ頭で、と思い付く特徴を並べた。
それを聞いて麻子はまた、違うなと否定した。
6: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/30(土) 05:57:31.40 ID:gbso4KrM0
「ああ、さっき店員さんがしていた話の事かしら」
先日オープンしたばかりの隣のラーメン屋が急遽、夕方からの営業を取り止め、尚且つ店を閉める事を決めた旨の貼り紙を出したという。
大洗の学園艦の横浜への寄港に備え、宣伝に力を入れていた店である。
学園艦の居住区にも、チラシが配られた。
7: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/30(土) 06:00:26.28 ID:gbso4KrM0
「だからと言って、座敷童子がその店から出て行ったとでも言うの」
憶測だがそう外れてもいないだろうと、麻子は曖昧に答えた。
麻子から見える範囲にも、手掛かりはそこかしこにあったと言う。
8: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/30(土) 06:03:19.97 ID:gbso4KrM0
「好みに合わなかったんだろう。座敷童子の、ただ好みに」
不思議な話ねと、相槌のように後藤が口を挟む。
確かに、まるで実際に座敷童子が存在しているかのような口振りである。
金春も頷いて同意を示す。
9: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/30(土) 06:06:24.10 ID:gbso4KrM0
【ラーメン屋編】
横浜の、とあるラーメン屋。
そこの店主には、忘れられないラーメンがあった。
10: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/30(土) 06:09:17.42 ID:gbso4KrM0
そして今日は正念場。
ここ、横浜に大洗女子学園の学園艦が寄港する。
学園艦からの客はとにかく数が多く、一攫千金の好機となる。
11: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/30(土) 06:12:32.05 ID:gbso4KrM0
そして現在、店主は昼の営業が終わり準備中の札を提げた店内で、昼に来た女学生二人組と話していた。
片方はツチヤ、もう片方の小さい方はサカグチと名乗った。
どちらもラーメン好きで、彼女らが行列に参加した事が生徒達の間に広まった結果というのが昼の盛況の理由らしかった。
店主は他の女学生達にも話を聞き、二人に声を掛け、こうして話す席を設けるに至る。
12: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/30(土) 06:15:57.42 ID:gbso4KrM0
しかし彼女達は苦い顔をしたままである。
痺れを切らした様にサカグチの方が口を開いた。
ここのラーメンは美味しくありませんでした、と。
13: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/30(土) 06:18:25.06 ID:gbso4KrM0
サカグチはぽつりぽつりと理由を挙げて語り出す。
彼女の挙げた理由は全て、店主がこのラーメンの長所と捉えている箇所だった。
それはつまり、見方こそ違えどサカグチの舌の正確さを表している。
そして、店主が、あのラーメンを完璧に再現できていた事も。
14: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/30(土) 06:21:39.50 ID:gbso4KrM0
彼のラーメンは、所謂お袋の味である。
広義のお袋の味ではない。
お袋の味というものは、何も味噌汁や肉じゃがばかりではなく、家庭の数だけお袋が居て、お袋の数だけお袋の味があるのだ。
彼の家ではそれがラーメンだった。
15: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/30(土) 06:24:09.41 ID:gbso4KrM0
馬鹿正直である。
しかしサカグチの馬鹿正直に感謝しなくてはならない。
こんなに早く、ラーメンに対する馬鹿正直な感想を貰えたことを。
16: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/30(土) 06:25:43.51 ID:gbso4KrM0
【ダージリン編】
ねえペコ、今度の寄港日に行ってみたいラーメン屋さんがあるのだけれど、一緒にどうかしら。
【ダージリン編終了】
17: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/30(土) 06:30:12.58 ID:gbso4KrM0
おまけ
【河嶋桃編】
ヒンドゥー教の女神、カーリー。
18: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/30(土) 06:33:27.01 ID:gbso4KrM0
しかし、今回の話の主役はカーリーではない。
その絵の隅に描かれている狼のような獣、ジャッカル。
ジャッカルは、屍肉を喰らう獣として描かれる。
小動物などを捕らえて食べたりもするが、猛獣の食べ残しを漁る姿の方が人間の印象には残る。
19: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/30(土) 06:36:46.33 ID:gbso4KrM0
それで終わりではない。
今度は、荼枳尼天という神が野干の化身であるという解釈が生まれる。
これは荼枳尼天が狐を連れているためだが、この辺を詳しく話すとどんどんややこしくなるので割愛するぞ。
ともあれ荼枳尼天と野干という組合せは、やがて稲荷信仰と結び付く。
20: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/30(土) 06:39:21.46 ID:gbso4KrM0
私もな、昔はジャッカルと呼ばれていた。
不良だったんだ。
私は、荼枳尼天ならぬ会長の遣いとなった自分に野干を重ね合わせている。
ジャッカルから狐になれたんだ。
21: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/30(土) 06:41:13.37 ID:gbso4KrM0
という話を生徒会新聞に載せようとしたら柚子ちゃんに九割カットされた。
嘘は駄目だよ桃ちゃん、と言われました。
だから私の好きな食べ物はいなり寿司で、理由はおいしいからです。
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