46: ◆hAKnaa5i0.[saga]
2017/09/29(金) 18:13:22.25 ID:4lJng8t70
遠くから生徒が手を振りながら駆けてきた。
「おーい、先生! そのコラッタ捕まえておいて!」
「僕の手持ちにしたいんだ!」
ゴロウは「ああ、待ってろ」と答えた。自分のボールからラッタを出した。
野生のコラッタと向き合わせた。
「よし、じゃあ、ポケモンの捕まえ方の講座を始めよう」
「ええー」
「ええー、じゃない。ほら、よく見てろ」
ゴロウは生徒にバトルの基本を教えた。彼は呑み込みが早かった。ぎこちないながらも、臆せず、ラッタに指示を出した。コラッタを倒した。ボールをコラッタに当て、捕まえることができた。「やった!」と喜びを露わにした。
「頑張ったな」
「うん」
ゴロウはふと思いついた質問をした。
深い意味はなかった。
「お前、将来、なりたいものとかあるのか?」
「僕?」
「ああ」
「ポケモンチャンピオン」
「当然だ」と言わんばかりの答えだった。
ゴロウは目を丸くした。
目頭が熱くなった。
「何笑ってんだよ! 先生! ―――って、あれ? 泣いてる?」
いや。平気だよ、とゴロウは目元をふきながら言った。鼻をすすった。笑みを見せた。
「ポケモンチャンピオンになりたいなら、真面目に授業を受けような」
「いや! バトルに勉強とか関係ないじゃん!」
「あるんだよ。おら、さっさと行くぞ! 授業の時間だ!」
ゴロウは生徒にひそかに期待した。
終わり
50Res/40.89 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20