339: ◆hfr5rHILM6
2017/10/18(水) 13:08:39.34 ID:YmFdvbmy0
「もしかして、ユイの親戚の子じゃないの?」
セ、セーフ。内心ほっと息を撫でおろす。まぁ、冷静に考えれば、自分の友達によく似ているからと言って、友達が幼女になって学校に来ました、なんてファンタジーを、それなりにそういった作品に親しんでいる俺ですら全く信じなかったのだから、ましてリア充グループをけん引していらっしゃる彼女が思いつくわけもなかった。
俺は表情を取り繕いながら、三浦に返事を返す。
「……ばれたらしゃーないな。そうだ、この子は由比ヶ浜の親戚の子だ。ほれ、あいさつしろ」
「えーと……ゆみっていいます、よろしくおねがいします」
ロリヶ浜さんがそろそろ手馴れて来た挨拶を口にして、ぺこりと頭を下げると、ヤジウマどもからかわいー、と黄色い歓声が上がる。基本的に女子がカワイイという形容詞を用いる時は、カワイイと言ってる私カワイイという意味を孕んでいることが大多数なのだが、今回に限ってはまぁ言葉のままの意味であると思ってもいいだろう。幼女は可愛らしいものだ。
当の本人はそんな歓声を聞いて、頬を赤くして顔を背けてしまった。見目麗しいイマドキJKである所の由比ヶ浜は、こういった文句には慣れているとは思うのだが、幼女の姿で聞くとまた違った受け取り方になるのだろうか。女の子の気持ちは八幡わからない、だって男の子だもん。
「ふーん……で、なんでヒキオがその子を預かってるわけ?」
「まぁそれはやむにやまれぬアレな事情があってだな……」
「は? キモ。ちゃんと言えし」
一刀両断であった。流石に戸部当たりのように、適当な言葉を並び立てておけば誤魔化せるような甘い相手ではないらしい。とはいっても下手な理由を言えばろくなことにならないのは目に見えている。ここはどう答えるべきか。
「最近ユイが休んでるのもなんか理由あんの? あーし、あの子から何も聞いてないんだけど」
「あー……それはだな……」
「えっと、えっと、ゆいおねえちゃんはりょこうちゅうで、ぶかつのいらいであたしがはちまんおにいちゃんのいえに……」
「待て待て待て待て、落ち着け、とりあえず深呼吸しろ」
ロリヶ浜さんがおバカな頭をなんとか捻って理由を説明しようとしているが、まとまっていない言葉を無理に口に出そうとしたせいか、文脈が全力で迷子になっている。これでは鎮静化どころか逆効果になる予感が。
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