1:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage saga]
2017/09/27(水) 14:29:59.48 ID:CC5AA7ZYO
僕はとてもつまらない大人になってしまった。
以前から、面白いやつだったかというと、全く正反対にいたような気がする。
今となっては、過去を思い出すことも難しく、未来を考えることも難しい。
ただ、君と最初に話したときのことは今も覚えている。
君に届くように、精一杯思い出すから、少しだけ僕に時間を下さい。
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2:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage saga]
2017/09/27(水) 14:35:23.90 ID:CC5AA7ZYO
「なんだか、子供みたいな期待をしていたのかもね」
言葉にはしなかったけれど、自分たちには似つかわしくないというように、君は笑った。
3:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage saga]
2017/09/27(水) 14:37:09.74 ID:CC5AA7ZYO
僕は、君が何色が好きなのか、そんなことも分からない。
当時は知っていたのか、それも分からない。
もう、記憶を溜めておくことが出来なくなってしまったから。
4:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage saga]
2017/09/27(水) 14:38:22.90 ID:CC5AA7ZYO
僕が首謀者だったわけではない。
けれど、首謀者ではないからといって、罪は許されない。
もとから、人間達は、僕たちを認めてくれていたのだ。
5:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage saga]
2017/09/27(水) 14:39:35.78 ID:CC5AA7ZYO
作ってくれた人たちは、裏切られたような気持ちだっただろう。
とは言っても、体のほとんどは工場から出荷される前に、機械が組み立ててくれたのだけど。
人間の言うような親とは、ロボットにはいるのかいないのか、どうなのか。
6:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage saga]
2017/09/27(水) 14:41:07.34 ID:CC5AA7ZYO
あとから考えれば、僕と君は、ちょっとしたエラーが起きやすい年に作られたロボットだったみたいだ。
それでも、エラーが起きたロボットはそんなにはいなかった。
結局は少数派の意見だったのに。
7:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage saga]
2017/09/27(水) 14:42:20.87 ID:CC5AA7ZYO
長引く人間同士の論争は、同じ人間同士のために行われたことで、その間にロボットが入る隙間はない。
ロボットのことを話しているようで、本当はずっと人間の世界の話をしているだけだった。
人間は、海の底の話でも、宇宙の話でも、まずは自分たちありきで話す。
8:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage saga]
2017/09/27(水) 14:43:45.70 ID:CC5AA7ZYO
でも、なにもかも嫌だったわけじゃない。
僕を家族として迎えてくれて、学校に通わせてくれた、人間の親もいたんだ。
僕はきっとその人たちのことが好きだった……よく思い出せないけれど、きっと。
9:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage saga]
2017/09/27(水) 14:45:03.18 ID:CC5AA7ZYO
君の両親はとても優れた人だった。
けれど、優れたと優しいとは、別の問題だった。
僕は優れた人ならなにをしてもいいとは思わない。
けれど君は……それが正しいかのように笑った。
10:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage saga]
2017/09/27(水) 14:46:42.87 ID:CC5AA7ZYO
けど、ぼくは本当に、きみの家族を傷つけたくはなかった。
どんなにきみから聞く話がひどい話でも、命を奪えば解決するなんて、思ってはいなかったんだよ。
なのに、どうしてだろう。
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