橘ありす「あなたの瞳には」
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16:名無しNIPPER
2017/09/26(火) 08:54:03.10 ID:SjBa6GBgO
「けど?」

ここでわたしは、奈緒さんの顔がみるみる赤くなっていくのを見て、次に出てくる人物がすぐに分かった。あぁ、やっぱりこの人はーー

「けど、そこに最初に気付いてくれたのは、やっぱり…プロデューサーさん、なんだよな。こんなわたしを、アイドルとしてステージに押し上げた。こんな私の魅力っていうのかな…そこに気付いてくれたんだ。すごい人だよ…本当にさ」

「そうですね、わたしも…尊敬しています」

奈緒さんにとっても、プロデューサーは特別な人。いや、もしかしたら…いいえ、もしかしなくてもこの事務所のアイドル全員にとってプロデューサーは特別な人かもしれない。そう、わたしだけじゃなく…

「けど、なんでまた急にそんな話になったんだ?」

「えっ」

わたしは虚をつかれた。そうか、経緯を説明していなかった…わたしがしどろもどろになっていると、奈緒さんは、

「ま、いいけどさ!」

と笑ってみせた。そしてふと真面目な顔でわたしの瞳を見つめたあと、

「特別に思うってのはさ、二種類あると思うんだ。その人との関係や出来事があって特別って感じるのと、もうひとつ…その…うまく言えないけど…」

わたしには、彼女の言おうとすることの意味が何となく分かる気がした。そして、わたしの思いがどちらなのかも…それなら

「奈緒さんの、プロデューサーへの思いはどちらですか?」

意地の悪い質問だったかもしれない。きっと困らせてしまう…そう思った。しかし、奈緒さんは焦りも怒りも、照れもせず、またあの笑顔でこう言った

「秘密っ!」


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