99: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/11/05(日) 01:42:38.05 ID:8Kmh9Nmz0
===12.
十月も終わりが近づくと外はすっかり寒くなる。暖房の効いた建物から寒空の下に出れば、
その風の強さに両手を擦って肩を震わせるなんて光景が街のあちこちで見受けられるようになる。
「うぅ、寒ぶ寒ぶ」
その反応に歳の差なんてものは大して関係ないみたい。
テレビ局から出たわたしとプロデューサーさん、それから静香ちゃんの三人は揃って両手を合わせると。
「お昼どうします?」
「わたし、こんな日はあったかい物が食べたいでーす!」
「なら鍋だな」
「お昼だって言ったハズですけど」
なんて、なんでもないお喋りをしながら道を歩く。
行き先は最寄りの繁華街、お仕事でペコペコになったお腹を満足いくまで満たすためだ。
「でもな、流行ってるらしいぞ鍋ランチ」
「みたいですね。先日もこのみさんたちから試したなんて話を聞きました」
そう、静香ちゃんの言う通り。このみさんたちってばわざわざわたしたちのトコまで来て、
「スッゴク美味しかった!!」って自慢するんだもん。お昼の鍋物はまた"オツ"なんだぞとかなんだとか。
「それも酔いに酔った状態で。……どうせ意志薄弱なアナタのことですから、鍋だけ食べて終わる気がしません」
「バカ言うな! 流石に勤務中に飲酒なんて――」
「したこと無いって言えますか?」
「……二度や三度はあったかもなぁ」
他人事みたいにぼやく彼の反応に、「ほら見たことですか」って感じで静香ちゃんがため息をつく。
つまり、鍋物案は却下だと。
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