ミリオンデイズ
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62: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/04(水) 18:36:54.18 ID:t9VFdT8i0

「動物ぶつぶつぶどうかーん♪」

「えぇ〜……」

「完熟じゅくじゅくハヤーシラーイス……あ、そうだ! 響ちゃん、今日のご飯はハヤシライス?」

「うぇ!? ち、違うけど」

「そうなんだ。私、カレーライスとハヤシライス、どっちが強いか気になってて」

「ううん、ごめん。ワケわかんない」

訊いて来た麗花に笑顔で答えて、ドッと感じる肩の重み。

はぁ、やっぱり説明はしなきゃダメ? 北上麗花、こう見えて二十歳。
自分の住んでるマンションの、隣に住んでるお隣さん。

それからここの所が重要で、自分と同じ765プロ所属、いわゆる一つのアイドル仲間。
そりゃ、麗花は裏表の無い良い人だから、自分も嫌いじゃないけどさぁ……。

「ふんふんふーん♪ ワニ子ちゃんの牙、いつ見てもピカピカしててカッコイイ! ……一本ぐらい貰っても――」

「ダメに決まってるでしょ何してるの!? 手なんか入れちゃって噛まれたら――」

瞬間、麗花の腕が中にあるのに、バクリと口を閉じるワニ子!

「うぎゃーっ!!?」

「きゃあーっ!!」

部屋に悲鳴が響き渡り、自分は思わず顔を伏せて……。

恐る恐ると目をやれば、麗花はケロリと転がってた。
こっちに見せた右手には、ちゃあんと肘から先が残ってる。

「ビックリした?」

「当然でしょ!」

「怒らないでよ響ちゃん。今度の事務所のパーティで、披露しようと思ってるの」

そうしてワニ子の鱗を撫でながら、「やったね♪」なんてピースサイン。

ああ、もう! ああ、もう! なんて言ったら良いかが分かんないけど!!

……ホントに麗花は自由だよ。ヒマを見つけちゃ遊びに来るし、ハム蔵たちとも仲良いし。
だけど自分、ちゃんと知ってるよ? 最近家の中の地位が、麗花に負け始めてるってこと!


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