40: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/09/28(木) 22:44:57.99 ID:uAXr0QO10
「いやぁ〜、人に見られながらとか緊張するしハズいって〜」
だが、彼女とて一応駆け出しのアイドルだ。
将来は食レポの仕事だってあるだろうしと、
ギャラリーに囲まれた状態でぷりぷりの牡蠣に齧りつく。
「ふっ、んっ……ちゅ♪」
その身は一口で食べるには大きかったが恵美は何度か噛み切るように咀嚼して、
最後はつるんと吸い込むように口に含み「ちゃんと食べたよ」と宣言するかわりに空っぽの殻をお店のおじさんに差し出した。
「ごちそうさま! 美味しかった〜♪」
瞬間、店の親父が恵美のファンになったのはわざわざ語るまでもないだろう。
彼は後にテレビで恵美の姿を見つけ、この時の少女がアイドルだったということを知るのだが……。
「……ねぇめぐみー」
「私らの錯覚ちゃうならあれやけど、なーんで荷物が増えとるん?」
「いや〜、これはその、あは、にゃはははは……♪」
今はとりあえず置いておき、恵美たち三人の話をば。
先ほどまでの荷物に新たな小袋を一つ加え、
ようやく奈緒たちと合流した恵美が決まり悪そうに笑って言う。
「せっかくここまで来たんだし、劇場のみんなにもお土産買って帰りたいじゃん」
すると海美がポンと思い出したように手をうって。
「そーだ! タコ、タコ買わなきゃ!」
「あ〜……言うても、もうたこ焼きパーティするほどお腹に余裕あらへんし」
「そりゃ、あれだけ食べてりゃそうなるよ」
「まぁまぁ恵美も食べて食べてっ! この蟹のぱりっぱりが……おっ?」
呆れる恵美の口に持っていた唐揚げをあーんしつつ、海美が再び目を輝かす。
「なおなお見てみてあのお店! アイスクリーム売ってるよ!」
「ほんまアイス屋さんってどこにでも……行こかっ!」
「ちょ、ちょっと二人ともまだ食べるの!? さっきお腹一杯って!」
すると慌てる恵美の問いかけに、二人は笑顔でこう答えた。
「そりゃあ女子力高い女の子だもん!」
「あまーいお菓子は別腹やんな!」
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