289: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/05/07(月) 20:14:08.01 ID:kXrrYojn0
「……俺に、君の父親代わりをしてる気はない」
時間をかけて考えた末に、やっと選び出したという面持ちでその拒絶は私に届けられた。
静まり返った控え室で、ようやく向かい合った視線の冷たさだけが感じられる。
「当然です。私も娘じゃありませんもの」
言って、カラカラと私は笑っていた。口元だけの渇いた笑い。
相手の厚意に付け込んで面影を重ねていたのは私。だから、彼に責任は無い。
それでも、だけど、まだ子供な私はこんなだから。
十四歳、思春期、文字通り子供から大人へのなり損ない。
駄々をこねるには賢しすぎて、吹っ切ろうにも幼すぎた。
「でも……アナタの手で育てられました。そういう意味では、お父さんです」
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