23: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/09/26(火) 19:12:17.29 ID:emHVEdn80
「ならば、とくとご覧あ〜れ〜っ!」
「これが双子流ギターの神髄だーっ!!」
勢いよくソファから立ち上がり、二人はその場で体をくねらせながらギターの弾き真似を披露し始めた。
これには隣に座っていたひなたもやんややんやの大喝采。
「うわぁ! 流石は亜美シショーと真美センセ―!」
「ふっふっふ、またまた隠していた爪をみせちゃったね♪」
「才能があるって恐ろしいよ」
そしてそんな二人のパフォーマンスにあてられて、思わず血が疼く少女がここにもう一人。
「ははっ、二人とも中々センスがあるじゃないか!」
傍らに置いてあった愛用のギターを手に取ると、
ジュリアがゴキゲンなロックを奏でだす。
それに合わせて増々ノリノリになる双子。
ひなたも自分の膝を叩いてリズムを取り、
あっという間に資料室は即興のライブ会場へと早変わり。
それからも四人のセッションはしばらく続き、「案外いい組み合わせかもな。どうする?
このままプロデューサーに今度のライブを四人で出させてくれって言って来ても――」なんてジュリアが言いかけた時である。
「でも、みんなに大事なお知らせがあるの!」
唐突に、亜美がエアギターの手を止めてじっとジュリアの顔を見た。
「真美たち、今日でフツーのアイドルに戻ります!」
真美もギターを下ろすジェスチャーを取り、悲し気な顔でジュリアを見た。
「今まで応援してくれてありがとうだよーっ!」
最後にひなたが見えないスティックを空に掲げ、涙を堪えて訴える。
「このバンドは!」
「今日で!」
「解散だわぁ!」
「って、おいおーいっ!!」
そしてギターの音色も利用した、ジュリアのノリツッコミが資料室の中に冴えわたった。
かくして結成から解散まで僅か十数分、『アップル・ツインズ・ロック』は幻のバンドとなったのだ。
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