201: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/03/13(火) 21:40:33.61 ID:N0yNt449o
放課後聖母倶楽部「現代花咲か娘奇譚」
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「枯れ木に花を咲かせましょう」これは日本の有名な民話『花咲か爺』からの一文だ。
その内容については今さら説明するまでも無いだろうが、
基本的にはまず人の良い老夫婦が紆余曲折を経て枯れ木に花をつけることができる不思議な灰を手に入れる。
その後、お爺さんがこの灰を使って桜を咲かせてみたところ、
偶然通りかかったお殿様に「見事だ」と褒美を貰ってめでたしめでたし。
色々悲しいことはあったけど、最後はハッピーエンドとして物語は幸せのうちに幕を閉じる。
「でもこの話、色々とオカシイことも多いんです」と七尾百合子は指を立てた。
「まず物語には決まって犬が出てきますが、この犬の出自が結構トンデモ設定で。
老夫婦が元々飼ってた以外にもどこかからふらりとやって来た、いじめられているところを助けてあげる、
それに川から流れて来た桃を割ったらその中に入っていたりとか――」
「待って下さい百合子さん。それだと桃太郎じゃありませんか〜?」
「はい、その通りなんです朋花さん! ビックリですよね。他にも犬じゃなくて猫が出て来るパターンだってあるんですよ」
「……猫、ですか?」
「ええ! それも三毛の雄猫が――そう言えば三毛猫の雄は珍しくて、船に乗せると福を呼び、
遭難しなくなるって話もあったから、その辺りから富や財産の象徴として登場したのかもしれませんね!」
そうして百合子は「ああ、でも」と歯切れも悪く眉をしかめると。
「……だけど結局、犬でも猫でもお隣に住む意地悪なお爺さんを怒らせて殺されちゃう運命で。
その後は動物を埋めた場所からにょきにょきと大きな木が育つことになるんですよ」
物語中に命のやり取りが出たところで、話を聞いていた天空橋朋花は
「いつ聞いても随分残酷なお話です〜」と小さくかぶりを振るのだった。
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