110: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/11/11(土) 09:35:07.99 ID:zjG9pEgO0
「私のことより、皆さんの方が心配ですね〜。……無理に寄って来られなくても」
朋花が聖母の笑みをたたえ、周囲の団員に笑いかける。
だがその顔には僅かばかりの緊張が走り、普段のような柔らかさがない。
それもそのハズ、微笑みかける朋花の肩に、彼女の笑顔を凍りつかせる原因が鎮座ましましていたのだから。
「この蜂も……自然に離れて行ってくれますから〜」
そう! ハチだ。彼女の服の肩口には、黄色と黒のストライプが嫌でも目を引く大きな大きな蜂の姿。
それが今、我らが聖母の方へ向けて羽根を鳴らしていたのである。
始まりは実に唐突で、かつ展開もスピーディ極まりないものだった。
いつものように騎士団たちを従えて劇場にやって来た朋花。そこに一匹の蜂が元気もよろしく大接近。
狼狽える彼らの間を縫うようにヤツは飛び交うと、最終的に聖母の服へと取りついた。
「あ、慌てちゃダメです朋花さん!」
「刺されたら大変なことになりますからっ!」
「とりあえず止まって、止まって……どうする? おい、こんな時ってどうするんだ!?」
慌てふためく団員に、朋花は毅然とお願いした。
「皆さん、どうか落ち着いて。私の方は大丈夫……。こちらから刺激しないうちは、刺されることも無いハズですよ〜」
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