白望「古参、新顔、ニューフェイス」
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48: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/25(月) 19:29:23.69 ID:AUPcYDZ90

胡桃「……」

 あの二人は、よく一緒にトイレに行く。
 女子同士が連れ立ってトイレに行くのは珍しいことではないけれど、あの二人は特によく、二人で一緒にトイレに行く。

胡桃「……」

 どうせまたなにか、二人で密談でもしているのだろう。
 塞のほうからシロに相談事でもあるのかもしれない。

 塞は責任感が強くていろいろと一人で抱え込むくせに、シロにだけは妙に甘えるときがある。

 二人が部室を出ていくのと前後して、窓辺に立っていた豊音が声を上げた。

豊音「あ、ねぇねぇ胡桃ー」

胡桃「なに?」

 私も窓辺に移動する。豊音は窓の外を指さして笑っている。

豊音「また来てる」

胡桃「ほんとだ」

 そこには数日前に見た白い野良猫が、あのときと同じように植え込みの中でじっと座っていた。

 その視線は、こちらに据えられたまま動かない。
 もしかすると、やけに懐いていた豊音に会いにきたのかもしれない。

豊音「あれから毎日来てるんだよ」

胡桃「そうなの? 知らなかった」

豊音「うん。いまみたいに休憩終わりかけのときとか、練習中とか。タイミング悪くて触りに行けないんだよね」

胡桃「ふうん……それにしても、あの子こっちをガン見してるね」

豊音「ああー、ごめんよー。練習終わるまで待っててくれないかなぁ……」

胡桃「さすがに無理でしょ。どっか行っちゃうよ」

 練習が終わるまで、まだ数時間ある。

 それまで野良猫のあの子が、あそこでじっとしているとは思えない。



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